「俺なら、萩本さんを離さない」
「うん」
涙が続けて零れる。
でも、それはどちらかというと嬉し涙だった。
「あいつより、絶対に守れる」
「うん」
「萩本さんの笑顔を隣で咲かせる自信がある」
「うん」
引っ張り上げてくれた彼の目を始めてしっかり見つめる。
星哉みたいにきれいな目だった。
星哉と一緒にしてしまうなんて失礼かもしれないけれど。
「知ってるよ、あなたの格好よさを」
目を見開いて彼は私を見る。
だって、前に言ったでしょ?
私は、知ってたよ。
その目をしっかり見返した。
「私を、今まで好きでいてくれてありがとう」
ふわっ。
気付けば、君の腕の中にいた。
「ねぇ、萩本さん」
「何?」
「行こうか?」
私は頷いて、その力強い手に全てを預けた。
もう、病室は振り返らない。
そこからする声や、音は私を痛め付ける。
けれど、それから守ってくれる、好きでいてくれる人がいたから。