「……おはよう、星哉」





ごめん、長瀬のいう通りだ。





なにか、おかしい。





まず、星哉……。





呼ばれたことないし、向日葵以外には呼ばれたくもない。





これしか思い付かなかった。






長谷川が、俺のことを好き。






認めたくないけど、一番辻褄が合う。







「長谷川」





声が掠れて、弱々しい。




メールの音とその内容に俺は、運の悪さを思い知る。






声にならない悲鳴。





……向日葵がもうそろそろ来る。




「あ、向日葵来る?」





「なんの、用」



「やだ、お見舞いしかないじゃん! なに言ってるの?」





そういいながらも、その目に宿った光は不穏な光。






「ちょっとだけ、我慢してて」





少し起き上がっていた俺の体はいとも簡単に倒され、







気付けば、長谷川が、馬乗り状態。






「おい! なにして」




「黙って」




押し当てられた手にもがいても






俺、力が入らねぇ……






「ALSってね、寿命が短い人ほど、進行早いから」





そんな補足、いらねぇよ。







たんたんたん。





……向日葵の、足音。





目の前の長谷川が、にたりと笑う。




狂気、としか言いようがない。







残る力で足掻いたら、体をくっつけて抱いてるようにされる。







……仕組まれてる。







向日葵、勘違い、すんな……!