「向日葵」
俺がひとり呟いた言葉は、白い壁に溶けていく。
病院って、なにもかも吸いとってしまいそうな気がする。
病気を吸いとるのと同時に、寿命も想いも言葉も。
すべて受け入れるという白い世界を造り出しながら
なにもかもを奪い取っていく。
病室に誰か入ってきた。
「入っても大丈夫?」
知ってるような、知らないような。
あまり、馴染みのない人。
その声から誰かは分からなかった。
「久しぶり、星哉君」
穏やかに笑みを称えるその相手。
「なんで……」
驚愕で言葉が出てこない。
「……私が、呪いのこと、教えてあげる」
「なんで……」
同じ言葉しか呟けないまま、俺はその人から目が離せないでいた。