+*向日葵side*+
「車イス、ですね」
なれた手つきでベテランとみえる方が星哉がスムーズに乗れるように手配する。
「お連れ様はこちらに」
今度は若いアルバイトっぽい人に私が引っ張られた。
「彼氏くんが乗ったら素早くお願いします」
って、勝手に判断するな。
そうだけど!!
回ってきたのはカラフルな色の中でも黄色。
私の一番、好きな色。
「乗って、彼女ちゃん」
アルバイトAの言葉に、体を滑り込ませながら、いったい彼氏くんと彼女ちゃんとは何だろう?
と、思っちゃった。
「ごめんな、向日葵」
いやいや。
謝ることなどなにも。
「大丈夫、それよりほら、上がってきたよーーーー」
言いかけの言葉は蒸発して彼方へ消えていく。
大きな衝撃と共にぐらぐらと観覧車が揺れる。
「ぎゃあああっ」
女子の域を越える私の叫び声。
ああ、星哉に笑われそう……。
車イスの上に私は放り出され、星哉はその下。
「運悪いのか、良いのか……」
星哉は笑って顔をあげた私に言った。
「一番上で止まっちゃったよ」