「うわ、混んでる。星哉ごめんね」




確かに、この人の量じゃ、車イスは邪魔だろうな。





「ごめんな、向日葵。なるべく人に当たらないように頑張るからまず観覧車、行こう」




うん。




縦を首を振って彼女はあるきだした。



俺に人が当たらないようにさりげなく気を使ってくれている。




こういうところ、好きなんだよな。






それでも、俺が俺がって人はどうしてもいて車イスはその度に鈍い音を鳴らした。





だいたい、そんな人はぶつかったことにも気付かないし、謝りもしないんだけど。

   
 
   

そりゃ、健全な生活を送れている人には車イスとか目障りかもしれないけどさ。





「ママー、あのお兄ちゃん、車イスに乗ってるよ」






しっと言って黙らせる親も。








……肩身狭いな。







こんな思いをかかえて生きてるんだな、車イスの人は。








観覧車の大きさに目が回りそう。






向日葵は、高いところ好きだしな。




「向日葵」





振り返った彼女は俺の目に映るどんな景色、人よりも輝いている。






「ん」




それだけ言って手を差し出せば軽く握って先導してくれた。






十倍進みにくくなったけど、百倍胸が高鳴る。