+*星哉side*+
「星哉!」
髪の毛を編み込んでちょっとお洒落した……つもりの彼女が病室に顔を出す。
「向日葵」
今日は、俺の誕生日。
そして、向日葵の誕生日。
「ねえねえねえ、何か欲しくない?」
同じ誕生日というのも面白いと思う。
こういうとき、意地悪な心が働くのは、健全な男子なら当たり前だな、なんて想いながら。
鈍感な彼女でもわかる恥ずかしい台詞を言ってみる。
「……うーん、向日葵が欲しい」
「あ、買ってくるね」
どこまでアホでバカなんだ、こいつ。
「買えるならいくらでも、出すよ」
「は?」
あんた何いってんの、とでもいうように向けられる視線。
だから、お前だっつーの。
「ばーか」
隙を見て、ベッドから身を乗り出して唇に触れる。
端から端まで、抜かりなく極め細やかな桜色の唇。
桜色、というより少し濃い。
こんなにきれいなら、色つきだのどうのってリップを塗る必要なんてないのにな。
女子って、余計なまでに素を見せたがらないよな。
そんな些細な出来事に顔を染める彼女がかわいらしい。