「......ん」
目を覚ますと、見覚えのない景色だった。
大きなテーブルが目の前にあり、私の寝ているところはフカフカのソファのようだ。
ゆっくりと起き上がると、私にかけられていたものがズルリと落ちた。
男物のジャケットだ。
それを拾い上げると
「......和泉先生の匂いだ」
落ち着く匂いがした。
「起きたか」
私の物音を聞いて和泉先生が部屋に入ってきた。
ネクタイを緩め、シャツは腕まくりしている。
微かにコーヒーの香り。
......少しドキッとしてしまった。ちくしょう。
「あ......おはよう、ございます......?」
「おはようじゃねぇよ。あほ。まだ寝てろ」
ボフッと押し倒され、ジャケットを再びかけられた。
「水持ってくる」
少し不機嫌な様子の先生は部屋を出ていった。