その日の体育はバスケだった。
そういえばさっき柚にバスケやろうって誘ってる男子いたな......。
たしかバスケ部の人だ。
柚は背が高いから、バスケが向いてるかもしれない。
体育は基本的に男子と女子で別れ、前半は男子、後半は女子が中心になる。
ということで大急ぎで着替えギリギリ間に合った私と翠含む女子は、ちょっとした試合をしている男子の隣のコートで自由にパスやシュートの練習をしていた。
「晴!!パスパスー!!」
「はいっ!」
「うおりゃああああ!!!」
高いブロックをものともせず、翠の放ったシュートは綺麗にゴールをくぐった。
「よっしゃ〜〜!!!」
「さっすが翠!!」
ああ、翠の運動神経が羨まし過ぎる......。
私はと言うと、受け取ったパスをゴールを決めてくれそうな人(つまり翠)にパスをする、中継役しかできない。
......運動神経は、中の下...いや、中の中だと信じている。
と、その時。
隣のコートからワァッ!!と歓声が上がった。
見ると、柚がまさにゴールを決めている瞬間だった。