「......連絡先教えて」
「ん?それでいいのか?」
「それでいいもなにも...あんたの名前呼びより遥かにハードル高いと思うけど」
携帯を取り出し、柚にも促した。
「AINE(アイン)やってる?Inusta(イヌスタ)でもいいけど」
「あ、ああ。AINEなら。SNSの類はそれしかやっていないが」
「携帯貸して。......はい、これで登録完了」
こうなったら、奥の手だ。
速攻で仲良くなって、目的を聞いてやる。
もうそれしかない。
「......どうかしたの?」
ポケッと私を見る柚。
「ああ、いや」
するとにこりと笑った。
「転校したばかりで、友達ができるか不安だったんだ」
......友達?
そっか。そういうことを気にするのか。
そりゃあそうだよね。
いくら変人......と言っても普通の高校生だよね。
「早くも連絡先を交換できて嬉しい」
「......いえいえ」
「俺も『晴』と呼んでいいだろうか?」
「へ?あ、いいよ」
「ありがとう。晴」
気付くとさり気なく呼び捨てを許可してしまった。
わざとなのか、わざとじゃないのか......。
けれど、またふわりと笑う柚にドキリとした。
......この人、もしかして......。
変人というより、天然?
......くっ!!いや、騙されない!!!
この人は、得体の知れない怪しいやつなんだ!!
「あんたの目的を知るために仲良くなろうと思ってるんだよ!こっちは!!」
「そうか。だが友達になってくれるのだろう?」
「と、友達っ......」
「違うのか?」
「違くはないけど...」
また柚は優しく笑った。
「だろう?ありがとう。これからよろしくな。晴」
キュンキュンッ!
「あ、うん......よろしく...」
な...なんなんだこれ。
なんで私、この人の笑顔にこんなに弱いんだ。
否が応でも、心が反応してしまう。
なんでだろう?
......やっぱり私、この人とどこかで............
「ちなみに、晴。そろそろ本当に勉強を始めないとまずいと思うぞ」
「へっ?......あ、やば!!」