ということで、栗原くんを連れて塾にやってきた。
今日は授業は入ってないけど、自由に自習しに来いって言われてたから、来てもいいはず。
......まあ、塾に通ってない人を連れて来ていいのか分からないけど。
ガチャ
「こ...こんにちはー」
「おー。こんにちは」
扉を開けると真っ先に和泉先生と目が合った。
ご機嫌なのか笑顔で近寄ってくる先生。
「自習しに来たのか?テスト終わったばっかなのに偉いな!けど俺これから授業なんだよ。悪いけどそこの自習室であと2時間くらい待って...」
「先生。あのですね、ちょっとお聞きしたいんですが...」
「ん?」
そこで私の後ろからぬっと栗原くんが顔を出した。
「初めまして。栗原と申します。本日は急におしかけてしまい申し訳ありません」
ぺこりと礼儀正しくお辞儀をする栗原くん。
「へ?あ、いえいえ......?」
きょとんとしている先生。
「あのね、栗原くんは今日転校してきたんだけど......」
そして訳を説明すると、先生はにっこりと笑って「いいよ」と言った。
「あ、ほんとですか?よかったね、栗原くん」
「ありがとうございます」
「生徒が増えるのは俺も嬉しいからね。じゃあ2人ともそこの自習室使っててくれるかな。俺も合間を縫って顔出すから」
「はーい」
「分かりました」
あっさりオッケーをもらった。
......にしても、なんであんなにニコニコしているんだろう。今日の先生は。
なんだか、不気味だ。