答えない栗原くん。
だがその横顔を見ると、やはりなにか別のものが引っかかる。
なんでだろう......。
この人、どっかで見たことあるような。
けどそれが思い出せない。
......うーん。
けどそれは別に、悪い記憶じゃないような気がする。
なんなんだろう?このモヤモヤは。
「とにかく、そういうことだ。引き受けてくれるだろうか?」
その言葉で現実に引き戻され、考えるのをやめた。
「......けど私、塾に通ってるし」
「塾?」
「うん。だから教えたいって言われても...」
「その塾はなんという塾だ?」
「......え?」
キラリと眼鏡が光ったような気がした。
「興味がある。そこに俺を連れて行ってくれないか?」
......は?