「やっ、あの、違いますから!!前をフラフラ歩かれると目障りなだけです!!」


「え、ひどい」


私は制服を汚したショックで落ち込んだ。


「うう・・・・・・お母さんに怒られる・・・・・・」


「・・・・・・あー、悪いことしたな。今度会ったときに俺から謝っておくよ」


「・・・・・・べつに、大丈夫です。先生のせいじゃないので」


「そか・・・・・・」


じゃあ、そろそろ帰るな、と言って先生は歩き始めた。


けれどその足取りはやはり弱々しく、よく見ると顔色も悪いように思える。


数歩歩くとすぐ追いついてしまった。


「先生?・・・・・・大丈夫?」


「・・・・・・ついてこなくていいって。うつるぞ」


「やっぱり風邪ひいてるんじゃないですか」


先生は目がうつろのまま、歩き続けていた。


「・・・・・・」


「・・・・・・私のせいで悪化してたら本当にすみませ・・・・・・ふぎゅっ!?」


びよんと頬を引っ張られた。


「ふぁう!?ふぁにふふんでふか・・・・・・!」


「あほ。お前ごときと戯れたくらいで悪化するかよ」


「いっ、いひゃいいひゃい!」


にこりと笑い先生は手を離した。


そして立ち止まった。


「ほんと大丈夫だから。不死身なのよ俺。分かったら帰れ」


「いってて・・・・・・わかりました」


頬をさする。


「けど、もし家に着くまでに倒れたりしたら・・・・・・」


「ここ、俺の家」


えっ!?


先生が指さしたのはアパートだった。


「ここの2階。じゃ、また塾でなー」


「あ、え、は・・・・・・はい」


階段を登り、先生は見えなくなった。


ここ、なのか・・・・・・。


うちとめちゃくちゃ近いじゃん・・・・・・。


気づかなかったなぁ・・・・・・。







すると、その時。