右手にコンビニの袋、左手はポケットに突っ込んでいる。


時おりフラつきながら歩いているその姿は、少し弱々しく見えた。


・・・・・・だ、大丈夫かな・・・・・・。


もしかして具合悪いんじゃ・・・・・・・・・・・・。


この間会った時は元気そうだったけど・・・・・・。


気づくと私の手の中にあるクレープは、とっくに溶けてチョコレートが漏れてきていた。


「あっ、やば!垂れちゃう垂れちゃう!」


「なにがやばいんだ?」


「ぎゃあああああああああああ!!!」


先生がすぐ後ろに立っていた。


「なっ、なななな・・・・・・私の後ろに立つなぁ!!」


「どこの殺し屋だよ。つかそれはこっちのセリフ」


バクバクする心臓を抑えたら、びちょっと音がした。


えっ・・・・・・。


恐る恐る見てみると・・・・・・


「・・・・・・っ!!あああぁあぁぁぁあ!!!」


「だーもう、うっせぇな・・・・・・」


私の手についたチョコレートが制服にべったりとついてしまった。


「もーう!!!先生のせいですよ!!!びっくりさせるから!!!」


「・・・・・・これが理不尽てやつか。待てよこら。尾行なんかするおめーが悪いんだろーが」


ギクリと確信をつかれた。


「ちっ・・・・・・違います!なんで私が尾行なんか!ただ、先生がなんだかフラフラ歩いてるからちょっと気になって・・・・・・!」


思わず口を抑えた。


これじゃあまるで私がこの人を心配しているみたいじゃないか。


すると先生はニヤリと笑った。




「へーえ・・・・・・心配してくれたんだ?」