パタン...
玄関のドアが閉まった。
花恋たちが買い物にでかけ、男子陣が部屋に残された。
柚とは会ったことがあるからまあいいが、もう1人の鳴川?ってやつは全然知らない。
思い出すのは、柱の影に晴と隠れていた姿。
晴がこいつの口をふさぎ、なにかをしていたことは明らかだったが...。
彼氏かと聞くと殴られたし。
じゃあなにしてたんだよっていう......。
最近は、ああいう遊びが流行ってるのか?
...ってなわけねぇか。
「おい、和泉」
柚が眼鏡のフチに指を当て、俺の目の前に立ちはだかった。
なんでこいつはいつの間にか俺に敬語を使わなくなってんだよ...
しかも呼び捨てかよ。
「分かっていると思うが...くれぐれも晴に変な気を起こすなよ」
はあ?
「起こすわけねぇだろ」
「ふん。お前は初対面の俺にもヤキモチを妬くやつだからな」
ギクリ。
「...何言ってんだ」
「分からないと思ったか?」
あの日のことを言ってるみたいだな...。
晴と柚が2人で塾に来た日があった。
その時仲良さそうなこいつらを見たらイライラして、強く当たってしまった。
まあ嫌がらせとかじゃなく普通の注意だったんだけど、普段の俺ならこういう風に言わねえよな...と自分でも分かった。
晴が好きだから。
だから十個も年下のこいつにヤキモチを妬いてしまったんだ。