「私も運びますね」
「あぁ。さんきゅ」
お皿を持とうとしたら、先生の手とぶつかった。
「...っ!」
思わずバッと手を引いてしまった。
「あっ...す、すみません」
気を取り直してお皿を掴むと、その上に手を重ねられた。
そして耳元で囁かれる。
「照れてるの?」
先生の低くて甘い声。
それが身体中に響いたようで...ゾクリとした。
「ちっ違いますっ!」
「そっか」
ニコリと笑って何事もなかったかのように食器を流しに持っていった先生。
その後ろ姿を呆然と見つめる私。
な...なんだ今の!!
うわぁっ...
ゾクゾクした......!
だいたい、周りにみんながいるところでこんなことしてたらバレちゃうよ!!
......って、あれ、なにがバレるんだっけ。
なんだか分からなくなってきたけど...。
いや、だめだめ!
なんかっ...だめな気がする!!
流しに運んでいった時に柚の横で食器を洗っている先生を睨みつけた。
「ふっ」
と笑われた。
......なんなんだこの男ーー!!