「翠っ...!ちょっと待って...早い!」
目の前をワッと学生の集団が通り、翠と一瞬離れてしまった。
チラリと見えた腕を今度こそ離すまいと力強く掴んだ。
「ふぅ...あー危なかった...」
はた。と気づく。
あれ?
翠の腕ってこんなゴツゴツしてたっけ...?
「やだー。晴ちゃんてばダイターン」
「なっ...鳴川くん!?」
私が掴んだ相手は鳴川くんだった。
「ごっごめん!!」
慌てて離すと「まだ掴んでてくれてよかったのに!」と言われた。
いやいや...そういうことじゃないでしょ。
「2人とはぐれちゃったみたいだね〜。とりあえずAINEしておくね!」
「あ、うん......」
「てかここで立ち止まってるのも危ないし、適当なお店入ろっか!」
前の通りのお店を指差してそう言った鳴川くんにコクリとうなずいた。
「マジで人やばいね!!学生もだけど歩きタバコしてるやつらも多いし...気をつけてね晴ちゃん!」
私の隣を歩いてさり気なく周りからガードしてくれる鳴川くん。
さっきとは違い人とぶつかることなく、スムーズにお店に入ることができた。
「エスコート完了!とうちゃーく!!」
「...ありがとう、鳴川くん」
「だてにチャラチャラしてませんから!」
「ふふ」