「ううん…大丈夫だよ」
心配してくれる翠になにも話せなかった。
自分の中でまとまっていない話をするのは面倒くさがられると思ったからだ。
そしてその後も塾に何度か行ったけど、和泉先生は相変わらずいつもの和泉先生だった。
私が世間話をすれば普通に返してくれるし、先生が冗談を言えば私が普通につっこむし...という感じで。
一見いつもと変わらない。
けれどどこか...距離を置かれているような気がした。
...もしかしたら私が距離を置いているのかもしれないけど。
返事はいらないと言われた、けど返事をしたい、けど
なんて返事をしたらいいのか分からない...
それが頭の中でずっとグルグルしていて、吐き出そうにも吐き出せなくて。
なんでこんなに苦しいのか分からない。
「あ...携帯忘れた」
もうすぐGWという時に、塾に忘れ物をして戻ってきた。