「すごいねー柚。ほんとに天才だね」

「まあいつも通りだがな」


成績表を返すと、「そういえば君も点数が上がっていたんだろう?」と聞かれた。


「数学はどうだった」

「あ、けっこう上がってたよ!」

「やはりな。俺が教えたからだな......」

「えー、塾の先生のおかげなんじゃないの?」


翠が何気なく言ったその一言に、柚の耳がピクリと反応した。



「ほー......あの男のおかげ、と言いたいのか」


「えっ!?あ、いや、和泉先生のおかげもあるけど、もちろん柚が教えてくれたのもかなり助かったよ!!」


「......そうか」


「うんうん!そうそう!!あはははは〜」


「......その慌て様は不自然だがな。なにかあったのか?」


「えっ!?」


ドキッ!


「えーなになに?晴、なにかあったの??」



無邪気に笑いながらそう聞く翠。







......そう。






私はあの日、先生に......