「どした?分からんとこでもあったか」
落ちたシャーペンを机の上に置きながら、小声でひょこっと顔をのぞいてきた櫻田。
ちっ・・・・・・近い近い近い!!
「どこ解くか分かる?この一番上の問題だぞ」
私も小声で答える。
「いっいいです!分かりますす!」
「ぷっ。すすってなんだよ。噛んでるし」
「・・・・・・ぐっ・・・・・・もういいんで!平気です!」
「そうか。いつでも質問しろよー」
笑みをこぼし、ポンポンと頭を撫でられた。
「・・・・・・っ!」
大きな手だった。
男の人と顔があんなに近づいたのも、頭をポンポンされたのも初めてだった。
なっ・・・・・・昨日は教師とは思えない言葉遣いと態度だったくせに・・・・・・!
いや、言葉遣いは相変わらずだけど!
くっ・・・・・・
くっ・・・・・・そぉ・・・・・・!!
無駄に顔が良いから!!だ!!!
無駄に顔が良いからっ・・・・・・こっちだって無駄に・・・・・・!!
・・・・・・・・・・・・ど、ドキドキ・・・・・・しちゃっただけで・・・・・・。
あああああああ!!違う!!違うから!!!
落ち着け私!!
顔よほてるな!!!
あんなに顔が近かったら誰でも恥ずかしくなるし!そう!誰でも!!
だから・・・・・・
心臓・・・・・・おさまって。
私は必死に平静を装い、震える文字で問題を解いた。