「おい。離せよ」




すると後ろから聞き慣れた声が聞こえた。



「あ?」



男がくるりと振り返ると、そこに立っているのは和泉先生だった。



「なに?お前」

「離せって言ってんだろ」

「はぁ?うっぜ。関係ないだろお前に」

「関係あるわ」


バクンバクンと心臓が跳ねる。






「その子の彼氏だから」








.........っ!!



堂々とそう言った先生が、一瞬キラキラと輝いて見えた。



「彼氏かよ...なんかめんどくせぇな」

「もういいわ。行こうぜ」



そう言って男たちは去っていった。


力が抜けて座り込みそうになった私を、先生が抱きしめた。



「せん......せい」

「ごめんな。怖かったよな」


ギュウウと力強く抱きしめられた。


先生の心臓の音が聞こえてくる。


ドクンドクンと大きな鼓動。


......心配してくれたんだ。





初めて私から、先生の背中をギュウっと抱きしめ返した。