「腹減ったな。なんか食うか」




時刻は12時を過ぎた頃。


レストラン街はちょうど昼食ラッシュでどこも列ができている。


「こことか人気らしいぞ」


先生が指差したのは最近テレビでも紹介された有名なイタリアンのお店。


だけれどやはり長蛇の列ができている。


「俺並んでるから買い物でもしてきたら?」

「......何言ってんですか。1人にしないでください」

「お?なんだなんだ、寂しいのか?」


ニヤニヤしながら私のほっぺをツンツンする先生。


「うざっ!違うし!触るな!!」

「ひど」

「てかここやめましょ。フードコート行きましょう」


ズンズンとフードコートへ進むと、混んではいるもののチラホラ空いている席はある。

素早くそこに腰かけると、後から来た先生は少し驚いた顔で向かいに腰かけた。


「ここフードコートだぞ?せっかく色々あるのにここでいいのか?」

「いいんです。並ぶの嫌なんで」

「......女子は食べたいもののためなら平気で並ぶんだと思ってたよ」

「うわー偏見」


まあ多分そういう女子の方が多いんだろうけど。


すると先生は席に荷物を置いて、私に食べたいものを聞くと買いに行ってくれた。



「ふー......」



ああ。


まさか私が、和泉先生とこんなところに来るとは......


家族か友達としか来たことなかったし。


男子...ていうか男の人と2人きりで遊びに来るとか初めて。



これってデートなんだよね...やっぱり。


......けど私と先生の関係ってなに?


ただの塾の教師と生徒がこんなふうに遊びに来たりするもんかな?


先生の気持ちも分からないし、自分の気持ちも分からない。


先生といるとドキドキするけど、これは一体なんなのか......。


うーん......もう全然分かんない......。




「あのーすみません」




考え事をしていると、いきなり声をかけられた。