「よし。ちゃんと準備してるな」
玄関のチャイムが鳴り開けると、和泉先生がにこやかに立っていた。
今どきの若者っぽい......と言ったら変かもしれないけれど、オシャレな私服だった。
いつもスーツ(上着無しの)だから、こうして見ると普通の26歳男性って感じ。
全然教師に見えない。
一方の私も、今日はいつもより大人に見えるようにかなり服は頑張った。
普段は着ないような......い、いわゆる勝負服的なやつだ。
いやだってさ、やっぱ一応......?
休日に会うわけだし??
まあそれなりの格好をするのはマナーっていうか......?
うん。そうだよ。別に深い意味はない。
昨日はあれだ。
なんか具合悪かったから気持ちが不安定ですぐ変なこと考えちゃったりしてただけで。
今日だって普通にほら......お詫びって言ってたし。
勉強会的なことをするつもりなんだろう。家で。
けど......うぅ。
さすが顔が良いだけのことはある......。
「......負けた」
「え、第一声がそれ?つかなにが??」
あっけなく......
......先生の私服姿に、ドキドキ...してしまった...。
「じゃあとりあえず行くぞ」
......えっ?
「行くって...どこに?うちじゃないんですか?」
「あほか。お前しかいない部屋にずかずか男1人で上がれるか」
「......!?」
ち、違うの!?
なにそれ!!勘違いしてたっ...!!
は、恥ずかしい......!!
「お詫びって言ったろ。デートだ。デート」