「なんてな」


パッと離す先生。


「......へ?」

「冗談だよ」

「はあ!?」

「反応が面白いから意地悪したくなっただけ」

「な...なにそれっ!」


ふざけんなーーー!!


「悪ふざけしすぎです!ひどい!」

「ははは」


こっちは本気でドキドキしたっていうのに......最悪!!


「帰ります!!」


そう言って車から降りようとすると、カバンを持つ手を掴まれた。


「ごめんな。怒るなって」

「......知らないもーん」


ペシッとその手を振り払うと、「待ってよ」とまた手を掴まれた。


その手はなぜかひどく熱い。


......え、まさか先生も体調悪いんじゃ......と振り向くと、先生はほんのり赤い顔で私を見つめていた。






「おわび......するからさ。明日11時にここに来るから」






......へ??


なにそれ。どういうこと?





「じゃあな!また明日!!」



するとあっという間に車から降ろされ、呆然としている私を置いて和泉先生の車はさっさと走り去ってしまった。