「シートベルトちゃんと閉めろよー」
「はーい」
先生が車で家まで送ってくれることになった。
もちろん私は助手席。
男の人の運転する車で助手席なんて、お父さん以外で初めてだ。
普通に緊張する...。
やばい。ドキドキしてきた。
「道案内よろしく頼むぞ」
「了解です」
時々先生がギアに手をかけ、その手がけっこうゴツゴツしていて、心臓がキュンと締め付けられた。
私とは全然違う、男らしい手...。
それだけでバクンバクンと心臓がうるさい。
やっばい......なにこれ。
私また倒れちゃうのかな......?
「このへんか?」
「......」
「おーい」
「......へ?あっはい!」
「そろそろ着くんじゃねーの?」
前を見ると、我が家が見えてきた。
「あ......そこの奥から三つ目の家です」
「おう」
家の前で車は静かに止まった。