「起きなさい、南。」




朝、お母さんが連呼するように「朝よ」と言う。
重たい瞼がさらに重たくなっている。

眠気も凄いし…まだ寝ていたい。



「起きなさい!!!」



急な母の怒鳴り声に、ハッと起きた。
母が怒鳴るなんて、今まででなかった。

寧ろ、もう起こすのをいつも諦めてるのに。




あまりに驚いて、目は見開いていた。
母は、やっと起きた…とため息をついた。

それに加え、深刻そうな面持ちである。



「え、どうしたの?」


「…まずは、顔を洗って服を整えておきなさい。」


冷静に母は言った。
全くわからない…だけど、取り敢えずそれに従うことにした。


私はベットから降りて、下へ向かう。
そのあいだ、母は布団を畳んでいた。


顔を洗って、髪をとかし、制服を着た。


計15分くらいだ。
母は2階から降りてきた。キャリーバッグを片手に。


それは、修学旅行に使った大きめのキャリーバッグ。
母の様子を見るに、とても重そうだった。