『お待たせしてごめんなさい。こちらから提案があるんだけど、聞いて頂ける?』

『提案、とは?』

『今、ウチのファミリーだけでは人手が足りなくてね。同盟ファミリーに応援を頼むことは構わないかしら?』

『ええ、そちらがそう判断されたのなら。』



 アロンソ氏がそう言ったので、アタシは自分の考えを詳しく説明することにした。受け入れてもらえることを、信じて。



『イタリアのチェーロファミリーに協力してもらうわ。それからもう一組……メキシコのクレオファミリーにもね。そこのボスを鍛えてやらなくてはいけなくて。利用させてもらうことになって悪いけど、ご理解頂けるかしら?』



 アロンソ氏は暫く考え込んだ。理不尽なお願いをしていることは十分承知している。だが、なるべく早くルイ君をボスという立場に慣れさせてやらなければ。周りにクレオという存在を認識させなければ。

 ――どれくらいの時間が経ったのだろう。今をときめく人気歌手の付き人から、『……分かりました』という低い返事があった。



『ありがとう。了承してくれて良かったわ。』

『いえいえ。彼、若いのでしょう?世界の治安維持のためにも、私はこうすべきです。』