食事も終わり、リラが会計をしに席まで来てくれた。財布を出そうとしたアタシをエリオさんが制し、彼が財布を出そうとするのを更に群が遮る。

　カードで払うのかと思いきや、何故か現金で支払った群。疑問に思ったけれど、ひとまずリラにチップを渡して席を後にする。リラはとても嬉しそうに笑い、『また来て下さいね！未来さん!!』と言って手を振ってくれた。



「……群、どうして現金で払ったの？カード以外持ち歩かない人かと思っていたわ。」



　日本語で素直に疑問点と自分の考えを告げれば、「お前なぁ……」と苦笑された。だって、そういう印象を持っていたんだもの。仕方ないじゃない。そう答えると、群はその笑みを優しげなものへと変えた。



「カード使ったら注目されちまうだろうが。この店は一般人が多い“憩いの場”だから、雰囲気を乱す訳にはいかねぇしな。金持ちが居る高級レストランなら話は別だが。」

「あら、情が厚いのね。それともアタシの心を読んだ？」

「さぁな。とりあえず出るぞ。」



　アタシの横をスッと抜け、群はエリオさんと二言、三言交わす。「弟をよろしくお願いします」というエリオさんの声が、朗らかに響き渡った。