まだまだ未熟なアタシを導いてくれるのは、いつもこの男の言葉。周りには大切な人達が居て、かけがえのない日々を彩ってくれる。彼らを守るためにアタシはボスになったのだと、そう思った。



「……ええ。アナタとも約束するわ。ローサの名において、アタシはボスを全うする。」



 失ってしまったものもあるけれど、得るものだってこの先待っている。何が起こるのかは誰にも予測出来ない。だが、そんな毎日を生き抜いていくのが、アタシ達人間に与えられた使命なのだ。



「……そうか。なら、大丈夫だな。」



 小さく笑った群が、アタシの左手を取る。彼の指先が、薬指をそっと撫でてきた。



「お前の誕生日でどうだ?そろそろ、ここに指輪を贈りたいんだが。」

「……相変わらず突然ね。でも、そういう面白い所が好きだわ。」

「お前もかなり面白いけどな。」



 ゆっくりとアタシの言葉を待っている群。プロポーズの答えなんて、自分の思いを自覚した瞬間から決まっていたというのに。

 背中を押すような優しい風が吹く。静寂の中、ゆっくりと言葉を投げた。



「……アナタの手を取った時から準備は出来ていたわ。いつでも良いわよ。」