『未来もルイも、そんな所に立ってねぇでこっちに来れば良いだろ?』



 クスリと笑った群が、こちらを見ている。痺れを切らしたようにやってきた彼はアタシ達の手を引いて、みんなの中へ誘導した。



『悪かったな。別に“未成年隔離政策”なんか取ってねぇから安心しろよ。』

『そんなことは知っているわ。』

『群さん、気を使って下さってありがとうございます。』



 可愛げのない台詞を吐いたアタシとは対照的に、素直な喜びを口にしたルイ君。その頭を、群がクシャリと撫でた。



『お前はほんと可愛いなぁ。弟に欲しいくらいだぜ。』

『あれ?僕は既に兄のようにお慕いしておりますが……』

『そうか?嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。』



 その様を見ていると、まるで本当の兄弟のようだ。普通なら心が和むのだろうが、カチンときたアタシは、彼を軽く睨み付ける。



『……悪かったわね、可愛げがなくて。アタシだってお礼くらい言えるわよ。』

『ん?そういう意味で言ったんじゃねぇよ。すねんなって。』



 苦笑した群がルイ君から手を離し、アタシに向き直る。ふわりと揺れる飴色の髪を見ていたら、額に柔らかな感触がした。