――広いホール内に居る誰もが嬉しそうに談笑し、繋げたテーブルの上に並んだいくつも料理を、あれやこれやと言いながら楽しんでいる。ラテン系の音楽が流れる室内は、活気で満ちていた。

 つい先程ローサとクレオが同盟を組んだと発表したばかりで、来賓達は改心したフランシスコ達との会話を楽しみたいらしい。彼らは大勢に囲まれて、少々困惑しているようだ。その表情が、若干引きつっている。



『……それにしても、大人達の騒ぎようが尋常じゃないわね。あのおじ様なんて、お酒が入ったら人が変わったようによく喋るんだもの。』

『そうですね……ルッツさんは、声の張りがいつもの二倍くらいになってますし……』



 ほろ酔い、もしくは泥酔している人々を遠巻きに見つめるアタシとルイ君の溜め息が、見事に重なる。父親はお客様達と話し込んでいるし、群はフランシスコ達のテーブルに居る。ちょっと行ってくるからと言ったのに、随分話に花が咲いているようだ。



『僕達があの中に入るのは、もう少し先ですね。』

『そうね……』



 顔を見合わせて笑ったその時。喧騒の中で、コントラバスのような澄んだトーンがはっきりと耳に届いた。