「……ドン・クレオ。アタシ、気付いたことがあるの。話させてもらっても良いかしら?」

「構いませんが。」



 アタシの考えていることが当たっているのだとしたら、彼はどんな気持ちでボスをやっているんだろう。群は気付いているのだろうか。チラリと群に目をやれば、“どうぞ”と言いたげに、アタシに向けた掌をスーッとドン・クレオへ向ける。アタシが息を吸う音が、やけに大きく聞こえた。



「アナタ、ご自分でクレオの指揮を取っていないでしょう?もしくは影武者かしら?」

「何故、そう思うのです?」

「遅刻や豪勢な身なりから、アナタは“そういう人”なのだと思っていたわ。残虐だという噂も聞く。だから何処とも同盟を組めないのだと……」



 目前の顔を窺えば、少し影が落ちている。隣に視線を移せば、頭の切れる婚約者がニヤリと笑った。



「どうやら俺とお前の考えてることは同じらしいぜ。影武者説は思いつかなかったがな。」

「あら、流石アタシの婚約者(プロメティード)。なら、別の考えがあるのかしら?」

「たまにスペイン語混ぜるのやめろって。癖なんだろうけどな。」



 クスリ、笑った群。その紅い唇から言葉が紡がれる。