よく晴れた、ある冬の日。太陽が出ているからといって、決して十分暖かいとは言い難い。それでもアタシはソニアとグレイ、ガルシアを従えて、目的地へと急いだ。

　これはルイ君やルッツさんなど、他の同盟ファミリーには一切黙ってしていること。群にさえ何も知らせていないから、このことを知ったら、彼はとても怒るだろう。



『……お嬢様、本当によろしいのですか？やはり群様にお知らせした方が……』

『あの男にバレたら色々と煩いじゃないの。黙っていくのが正解なのよ。』



　まだ何か言いたげなガルシアを遮って口にすれば、ソニアが『ボスがこう言うんだから、従いましょうよ』と呟く。グレイが無言で頷くと、我が秘書も漸く首を縦に振った。顔にはまだ、若干の不満が残っていたけれども。

　羽織ったコートの襟元を直し、歩き続ける。暫くすると、以前部下が言っていた平野に到着。林を抜けて開けた視界には、鉄造の建物が悠然と構えている。

　――ここが、ソルファミリーのアジトだ。



『……随分と辺鄙(へんぴ)な場所に立てたものよね。偏屈なファミリーだこと。』