群がどんな表情でその台詞を口にしたのかは分からないけれど、フランシスコは奥歯をギリリと鳴らした。冷えた外の空気が肺に流れ込んできた時、大きな破壊音が強く鼓膜を揺する。振り向いた先では、薄闇の中で何かがキラキラと降り注いでいた。



『ふざけるな……どうしてこんな女に味方するんだ!どうしてみんなついていくんだ!!』



 ダイヤモンドダストのように見えたのは、割れたガラスの欠片だった。小さな凶器ともなり得るそれは、歪んだ奴の表情を不気味に色付けている。アタシから手を離した群が、おもむろに口を開いた。



『……理屈じゃ説明出来ねぇな。それがこいつの凄い所だ。』



 口角を僅かに上向けて、そう言った群。その答えが怒りを煽ってしまったらしく、奴の眉が一瞬ピクリとつり上がった。



『……お前達、どうやら僕に殺されたいらしいな。ならば望み通りそうしてやる!』



 部下達が止めるのも聞かず、激走してくるフランシスコ。戦う意志のない群は、放たれる銃弾を面倒臭そうにかわす。アタシの背後にも奴の殺気を感じて振り向いた、その時――突然現れた金糸。澄んだソプラノと射撃音が、空高くこだました。



『未来……!』