倉庫には発砲音が忙しなくこだまする。時折群が『やめろ!』と叫ぶが、他の者達は諦めたように事の成り行きを見守っているだけだ。ソルの陣営をチラリと見れば、彼らは酷く心配そうな顔付きで、自らのボスを凝視している。



『よそ見をするなんて随分余裕じゃないか。そろそろ利き手を使ったらどうだ?』

『あら、バレてたのね。じゃあ、使ってあげても良いわよ。』



 後悔しても知らないけどね。左手に持ち変えた銃を、わざとヒラヒラさせた。射的なら父をも凌ぐかもしれないと言われたくらいだから、コイツに勝つ自信は、ある。



『生意気なガキだな!その口を利けないようにしてやる!!』



 連続して発砲された銃弾を避けていると、不意に奴が間合いを詰めてきた。コイツは接近戦もいけるタチなのか。だとしたら、かなり恵まれた人物だ。



『どうした。接近戦は苦手か?』



 苛立ちを倍増させる笑み。もう一丁の愛用品を取り出して頭をぶん殴ってやろうかと思った時、鈍い輝きを放つ尖った銀色の刃物が奴の懐から現れた。マズイ……切っ先がこちらへ迫ったその瞬間。刃物がぶつかり合う音がして、アタシは痛みと衝撃を免れていた。