『ボス！こいつら凄く興奮してるの!!早くソニアを安全な場所へ!!』



　パトリシアが叫ぶと同時、ソニアをイカれた野郎達から引き離す。ガルシアに彼女を任せ、アタシは残りの部下達の元へ急いだ。二対二の戦いでも、相手がクスリの服用者となると勝手が違ってくる。唇を噛み、アタシは傷付いた黒豹を秘書に託したのだ。

　――さて、コイツらをどんな風に追い詰めてやろうか。



『……随分と可愛がってくれたのね、アタシの部下を。』



　目を細めて不機嫌そうな視線をぶつけてやれば、奴らの肩が小刻みに震え始めた。当たり前のことだが、今のアタシからは殺気が出ている。経験は浅いけれど、仮にもマフィアのボスなのだから、それ相応の力は持っていると思いたい。まぁ、眼力では婚約者に劣ってしまうのだけど。



『……あら、ビビってるの？何て情けない顔なのかしら。滑稽という表現がぴったりね。』



　ピクリ、と奴らの眉が動く。挑発すれば、面白いようにこちらの予想通りの反応をしてくれる。上向きになりそうな口元を自制して、更に侮辱的な言葉を浴びせる。益々怒りを露にする麻薬中毒者達。遂に片方が、アタシに向かって小刀ナイフを振りかざしてきた。