『……よく耐えたわね。あとはアタシ達に任せて。』



 地面に倒れたまま、すまなさそうに頷くソニアの傍ら、ニヤニヤと気味の悪い笑みを浮かべて立っている麻薬中毒者。その内、戦う意志を見せたアタシ達に気付いた奴の同朋共が集まってきた。

 人数は全部で五人。ソニアが抜けた分少々心もとないが、誰かが二人分引き受ければ良い。ウチのファミリーには、こちらが人数的に不利だからといって焦ってトチるような者は居ないのだから。



『……行くわよ!』



 アタシの声が戦闘開始の合図になった。アスファルトにいくつもの黒影が交わる。一番に交戦相手を仕留めたのは、やはりカマイタチことグレイだった。

 プロボクサー並の鋭い右フックを敵のみぞおちにお見舞いし、怯ませたところで気絶のツボを打つ。無駄など一切ない華麗な動きだ。彼はアタシとガルシアにチラリと目を向けてから、パトリシアの元へ走った。

 アタシは、バタフライナイフを使って下手な演武をしかけてくる奴へ、目障りだとばかりに回し蹴りを食らわせる。相手に出来た一瞬の隙をついて手首を捻り、体ごと冷たい地面へ押さえ付けて首の後ろを叩けば、ソイツは情けない声を上げて気を失った。