ソニアにじゃれるアンヘラを見ていて、ふと彼女達をジッと眺めている視線に気付く。それは、黄色いマリーゴールドのような微笑をたたえたルイ君だった。



『……お兄さん達が恋しい？』

『はい、少しだけ。でも、僕にはファミリーのみんなが居るし、寂しくはないです！』



　きっぱりと、ルイ君はそう言った。彼の部下達が思わず涙しそうになっている。この子の将来がとても楽しみだ。

　その時、ソニアに抱きついていた白いドレスがひらりと風に舞い、こちらへやってきた。彼女はセピア色スーツの彼にゆったりとお辞儀する。



『さっきはありがとう。あなたのお陰で私も変われそうよ。それに、あの人をひっぱたいてくれた時はスカッとしたわ！』

『い、いえ！僕はただ、あの方の考えが気に食わなかったので……』

『でも、とにかくありがとう！せめて名前くらい教えて頂けないかしら？また会えるかどうか分からないけど……』



　歌姫に話しかけられて動揺していた瞳が、その一言でしっかりと安定する。偶然を運命に変えるかのように、彼は言葉を放った。



『僕はルイ・アルバラードといいます。いつかまた、お会いしましょう。』