『貴女、歌手でもされてるんですか?どうせ自分が注目されなくなったから、アンヘラさんの人気を妬んでるんでしょう。努力をしようとも思わないで他人を恨むなんて、それこそ醜い。』



 澄んだ丸い瞳が強い輝きを放っている。水色ドレスの女は、ルイ君から目を離すことが出来ないらしい。核心を突かれたからか、悔しそうに唇を噛んでいる。

 小さなボスの勇姿に彼の部下達が感激の表情を見せる中、群が“よく言ったな”とばかりにルイ君の黒髪を撫でてやる。そして、その紅色の唇をスッと開いた。



『……お前に足りねぇもんは分かったか?』



 力なく頷いた女。その首が動いたのを認め、群は小さく笑みをこぼす。



『なら、もう大丈夫だな。人気歌手に手を出したんだ、処分は警察が決めることになるんだろうが……更生出来るな?』

『……はい。』



 二人のやり取りを聞き、周囲からポロポロと溜め息が洩れた。群の部下達が女を取り押さえ、彼女は近くの警察署へと連行された。



『ボス、やりましたね!』

『旦那様と奥様にも是非お見せしたかったです!』



 部下達に囲まれたルイ君。照れ臭そうに笑うその様には、何処か自信が隠っていた。