“整形”という言葉を聞いて騒がしくなる場内。アンヘラはか細い両腕で自分の体を抱き、水色ドレスの女はニヤリと笑んだ。



『そうよ!この女は整形してるのよ!!ちょっとはマシな外見になったかと思ったら、中身は相変わらず最悪ね!!
クズで間抜けでノロマのクセに、チヤホヤされて良い気になってんじゃないわよ!何でこんな醜い女なんかが人気歌手なのか分からない!!世間もどうかしてるわ……』



 ――パシーン、という打撃音が、女の頬を掠めていった。驚いたのは彼女だけではない。アタシや群やガルシア、今回のチーム全員が信じられないものを見たという顔をしていただろう。一番驚いていたのは、“彼”の部下達だった。



『……貴女にアンヘラさんの何が分かるんですか?他人を罵る貴女が一番醜いです。』

『な、何なのこのガキ!?知った風な口利かないで!!』

『知りませんよ、何も。でも、彼女の痛みや悲しみは分かります。さっき話を聞いたから……』



 いつの間にかアタシ達の側まで来ていたセピア色スーツの彼は、いつになく堂々としている。その視線の先には、目を真ん丸くしている歌姫が居た。