依頼のことを話すと、ソニアとグレイは久し振りのユニークな任務に目をキラキラさせた。一方無表情な秘書は『そうですか』という素っ気ない反応を見せる。相変わらず可愛げのない奴ね。



『ディナーショーってことはドレスよねドレス!今度は黒にしちゃおうっと。』

『おいソニア、遊びじゃないんだぞ……って言っても無駄か。せいぜい変な男に口説かれないようにするんだな。』

『あら、あんただって香水のキツいおばさん達に言い寄られないように気を付けなさいね。可愛い奥さんと娘さんが泣くわよ!』



 冗談を言い合いつつも、彼らの瞳には仕事への情熱が宿っている。パンを咥えていたりバスタオル姿だったりするのが、少々間抜けなのだけれど。

 警備は簡単なことではない。不審人物には常に目を光らせ、敷地内の状況を把握していなければならないのだ。今の内にふざけておこうとでもいうのだろうか。アタシより約一回り年上の二人の考えは、よく分からない。



『お嬢様、今回のドレスはいかが致しますか?』

『そうねぇ……とりあえず、ソニアと被らない色で。』



 困った年寄り達ですね、と言いたげなガルシアに、アタシはそっと頷いておいた。