「いやあ、面白かったなあ!」
 
 芝居が終わり、駅までの道のりを拓海と飯島は歩いていた。

 飯島は、いまだ興奮冷めやらず、といった感じで、劇場を出てからずっと喋り続けている。

「お前もそう思うだろ?」
「ああ」
 飯島とは対照的に、拓海はどこか素っ気なく答えた。

「何だよ、お前は。ホント、不干渉だな。面白かったんなら、もっと笑えよ。テンションあげろよ」
 飯島はバシバシと拓海の背中を叩いた。