何よりも拓海の心を掴んで離さなかったのは、主役を演じていた女優――堀江涼子だった。

 スラリと背が高く、よく響く心地のよい声をしていた。
 セリフまわしや立ち振る舞いなど、ほかの劇団員とは明らかに違っていた。
 女優とはこういうものか、と思わせた。
 照明に照らされた堀江涼子は、文字通り眩しかった。