拓海にとってこれがはじめての観劇だった。
 
 NHKの番組などで演劇というものを観たことはある。
 だが、こうして劇場に足を運んで生で演劇を観るのは、はじめてだ。

 ストーリーはよくわからない。
 演技の上手い下手もよくわからない。

 しかしこうして客席に座っているだけで、妙な圧迫感を感じる。

 それは何と言えばいいのだろう。
 強いて言うなら、役者たちの発するエネルギーのようなものだろうか。