受付の劇団員に案内されて、フロアーの一番奥にある扉をくぐると、パイプイスが並べられた客席が目に飛び込んできた。
 
「客席だ」

 さらに視線を移すと、黒い幕の引かれた舞台らしきものもあった。

「舞台……か?」

 拓海の頭のなかにある劇場のイメージといえば、もっと大きなホールのようなものだった。
 まさかこんなこじんまりした、手づくり感たっぷりの場所が劇場だなんて……
 しかもここは、ついこの間まで100均ショップだったのだ。