分厚い雲が空を覆っていた。
 まだ昼をまわったところだというのに、どんよりとした灰色の空だった。
 
 永遠に続くかと思われた退屈な授業もやっと終わり、待ちに待った放課後が訪れた。

久保拓海は、ひとつ大きな欠伸をすると、伸びをした。

「……帰ろ」
 と、拓海が席を立とうとしたとき、
「よ!」
 後ろから力いっぱい背中を叩かれた。