「…!?
何で急にそうなるんだ!?


あのな、今はそんな事言っている場合じゃないんだぞ…‼」


航聖は訳が分からず大きな手でその華奢な身体を掴み、強く揺さぶった。


だが馨はそれに逆らう様に航聖の手を振り払う。


「私だって何も考えていなかった訳じゃない!!!!!!」


航聖は目を見張った。



「でも…最善策は…

陽を唯一最短で確実に見つけ出すにはそれしかないんだよ‼


本来なら捜索は私ら『極道』の出る幕じゃない…!

敵である『警察』の役目だ‼



でも今は否が応でも『その敵』に助けを求めなくちゃいけない…‼


そしてそこに私は一番居てはいけない、理由は言わなくても分かるだろ!?


『敵』に正体晒す事になるんだよ!!?


只でさえ騒ぎになってるこの一件で世間の連中も流石に気付くだろうし、ましてや『幼児が行方不明』だなんてメディア関係が黙っている筈も無い…!!



いずれシャバに出回れば『私の正体』に気付く『裏の人間』も少なからずいる‼



地位や金目当てに命を狙って来る奴だって沢山いる!!!




周りの冷たい罵声を浴びながら命まで狙われるのは私だけじゃない…『私達』なんだよ!!!」


だから、と馨が続ける。



「今までの事はどうか忘れて…



私の変わりに早くあの子を救ってあげて…



そして見つかったら…私の変わりに私の想いごと、陽を抱き締めてほしい…


元はと言えば私の無責任で陽は居なくなったんだ…



そして『竹内』の生まれじゃ無ければもっと…もっと確実に陽を捜し出せたかもしれない…

…違う…?」