「理由はどうであれ、俺が先に好意を寄せていたのは確かだ。」


それだけ言うと恥ずかしさを隠すかの様に側にあった平たい石を拾い、思い切り目の前の川目掛けて投げ飛ばした。


「言わなくとも察せ、馬鹿!」


と軽く頭を叩かれる。


「察せたら苦労しないから聞いてんだろ、馬鹿!」


と頭を叩き返す馨だったが『自分より先』だった事が何だか嬉しくて、思わずニヤける。




「ぱぱ、まま、けんかだめー‼」


膨れっ面の陽が二人を叱ってるのを見て馨と航聖は吹き出す。


「違うよ、陽~!」

「喧嘩じゃなくて一方的な尋問だよ、陽。」

「航聖!!!」



何だかんだでこんな幸せがずっと続けば良いのになー、と思いながら笑う馨を見てそれに答えるかの様に穏やかに航聖が笑ってみせる。






どうか私達家族がいつまでも平穏に、幸せに過ごせますように_








小川の近くに生えていた四つ葉のクローバーにそっと願いを込め、その日の昼は三人でずっとはしゃぎ回った。