「いつまでガールズトークしてるんだ?

『馨』。」


突然後ろから下の名前で呼ぶのはかつての上司、水谷である事は言うまでもなかった。

「あ、『航聖』!

紹介するね。
彼女が私の親友の金刺瑠華。」


「初めまして、金刺瑠華です。」


夫である水谷に瑠華は軽く会釈する。


「俺は水谷航聖、こちらこそ宜しく。」


宜しく御願い致します、と改めて頭を下げる瑠華。



その後早速質問をした。



「ところで水谷さん、馨の家庭事情の方は…」


「勿論知ってる、最初コイツの『胸元』を見た時は驚いた。

大した護衛だよ。『そいつ』は。」



水谷の言ってる事は説明しなくても分かった。


その『胸元』にある『護衛』とは_


「竹内組の『紋象』の事だろ?
そっちは『毒蜘蛛』で『コッチ』は『白蛇』だ。」


笑っちまうだろ、『爬虫類コンビ』なんてと瑠華はケタケタ笑う。


その言動から分かる通り、当に瑠華も極道の一人娘である。


瑠華曰く、今でも馨と瑠華の出逢いがきっかけで、御互いの組合同士、『裏』の方でもしっかり互いに手を組んで協力しあっているらしい。


一方、馨本人は既に家庭が在る事はタブーにしており、口裏合わせて適当に連絡だけは取っている様だが…