_文月 参限目 体育。



馨はあたかもつまらなそうに大きな水溜まりと楽しそうに戯れるクラスメートを眺めていた。


「泳がねぇのか?」



一緒に見学していた瑠華はニヤニヤしながら敢えて『その話題』に触れる。



「知ってていちいち聞くな、バーカ。」



「ハハッ、まぁそう言うなって。
夏休みになったら川だろうが海だろうが幾らでも連れてってやるからよ、そしたらまた一緒に泳ごうぜ。」



唯一馨の『事情』を知っている瑠華はそう言ってニカッと笑う。


「有難う。」

「あ?」

「いや、何でもない。」



何だよそれ、と怪訝な顔をする瑠華の横顔を見ながらアンタで良かったと呟き、馨はまだあどけない膨らみに手をやった。