「それだけ目立てばその内分かるだろ。
誰がニューハーフか。」

「それもそうだね。」





そう笑いながら二人の女子高生はまだ蒼く高い空の下でガールズトークをしながら賑やかな街並みに姿を消していった。









_皐月 昼休み。



「あー…教室で飯喰うの飽きた。
たまには違う所で喰わねぇか?

例えば屋上とか。」

「は?ばっかじゃないの⁉
何処の現代っ子にそんな奴居んだよ、アニメとかドラマの見過ぎじゃない?アンタ。」

「ほら数学の伊達さん居たろ?
あの人なら開放してくれそうじゃね?」


そう言いながら瑠華は手に持っていたカフェオレを品無くズズズと音を立て飲み干す。


「そういう問題じゃなくて…自殺する馬鹿が増えたからでしょ。」


一昔前は確かに開放してたけどねー、と続けながら馨は冷食の唐揚げをフォークで突き刺した。


「そりゃ私だって欲を言えば屋上で弁当、みたいなドラマティックな事してみたいよ。

取り敢えず外で食べるなとは言われて無いから良さ気な所探そうよ、あ…ジュース買うの忘れてた、ちょっと買ってくるね!」


「ちょ、一人にすんなよ!
あたしさ~び~し~いぃ。」


いきなり女口調で腕に抱き付く瑠華に思わず鳥肌が立ち、馨はドン引きしながら歩を進める。


「気持ち悪い!!!」



ぎこちない歩き方の二人は変なやり取りをしながら教室を後にした。